それは、世界が少しずつ狭くなる感覚だった
資金が尽きる直前、
劇的な出来事は起きませんでした。
怒号もなければ、
突然の破滅もない。
ただ、
世界が少しずつ狭くなっていく感覚だけが
確かにありました。
朝、会社に行くのが少しだけ重くなった
以前は、
朝が来るのが早かった。
やることが多く、
考えることも多く、
気づけば一日が終わっていた。
でも、
資金が尽きる直前の私は違いました。
・会社に行くのが少し重い
・PCを開くのが少し遅い
・メールを見るのが怖い
「少しだけ」
その積み重ねが、
確実に心を削っていました。
口座残高を見る回数が、減っていった
最初は、
毎日のように見ていました。
次に、
数日に一回。
最後は、
見ない日を選ぶようになった。
理由は簡単です。
見れば、
現実を直視しなければならないから。
私は、
分かっていました。
このままでは
足りないということを。
電話が鳴るたびに、胸がざわついた
取引先からの電話。
銀行からの着信。
見知らぬ番号。
そのどれもが、
「何かを要求される気がして」
怖かった。
実際には、
まだ何も起きていない。
でも、
心はもう
追い込まれていました。
頭の中は、常に「支払い順」だった
考えていたのは、
未来でも戦略でもありません。
・今月、何を払う
・何を後回しにする
・どこまで引っ張れるか
経営ではなく、延命。
それが、
当時の私の仕事でした。
周囲の世界は、何も変わっていなかった
街は普通に動いている。
人は笑っている。
SNSでは成功談が流れてくる。
なのに、
自分だけが
別の世界にいるような感覚。
この孤立感は、
経験した人にしか分かりません。
夜が、一番つらかった
昼間は、
まだごまかせます。
でも夜になると、
すべてが襲ってくる。
・この判断は正しかったのか
・もっと早く止まれたのではないか
・明日はどうなるのか
眠れないまま、
朝を迎える。
これが、
何日も続きました。
それでも、私は「大丈夫な顔」をしていた
社員の前では、
普通に話す。
取引先には、
いつも通り対応する。
笑顔も作れる。
会話もできる。
でも、
心の中では常に崖の縁に立っていました。
資金が尽きる直前、人は静かになる
怒りも焦りも、
最後には消えます。
残るのは、
静かな諦めに似た感覚。
「ここまでかもしれない」
その言葉が、
何度も頭をよぎりました。
この景色を、誰にも見てほしくない
私は、
この景色を
誰にも見てほしくありません。
だからこそ、
こうして書いています。
・資金が尽きる前に
・孤独になる前に
・判断できなくなる前に
立ち止まれる人を
一人でも増やしたい。
次回予告
次は、
「それでも、なぜ私は止まれなかったのか」
を書きます。
本当の意味での
限界の話です。
資金が尽きる直前の景色は、
派手じゃない。
ただ、
静かで、重くて、
逃げ場がない。
このブログが、
誰かの「その景色を見る前の一歩」に
なってくれたら、
それ以上の意味はありません。


コメント