現在経営する4社のホールディングス構造

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「資金が回る会社」の設計を初公開

第0章・話10|はじめに


到達目標:「資金を絶やさない設計」の完成形を、実例から理解する。 今日やること:自社の現在の構造を「固定費・時間・外注化」の3軸で診断する。 必要ツール:紙とペン、または手元のメモアプリ。


現在、私は4社を経営している。

1社目の飲食は廃業した。2社目の貿易はバイアウトした。そこから学んだすべてを、今の4社の構造に落とし込んだ。

今回は、その4社の設計を初めて公開する。

なぜ各社に社長と役員1名だけを置き、すべてを外注化したのか。なぜ自分自身は4時〜10時の時間設計で4社を回せるのか。なぜホールディングス構造を選んだのか。

この話は、「成功談」ではない。2つの失敗から導かれた「資金を絶やさない設計の完成形」の記録だ。


現在の4社の全体像

まず、全体像を見せる。

3社目:ビルメンテナンス・日常清掃(子会社) フランチャイズ加盟。BtoB月次契約で毎月安定収入。作業は4〜10時の時間帯に終了する設計。現場作業はすべて外注。

4社目:財務コンサル・CFO代行(ホールディングス本体) コンサルティング会社として独立。他社のCFO代行や財務コンサルを提供しつつ、3・5・6社目のバックオフィスを統括。私自身はここの代表。

5社目:原状回復(子会社) フランチャイズ加盟後、FC元の役員と共同で会社を設立し、子会社化。工事は外注、営業と管理のみ内製化。

6社目:ハウスクリーニング・マーケティング(子会社) FC加盟からスタートし、マーケティング機能を強化。作業は完全外注、自社は受注と顧客管理に特化。

この4社には、共通の設計思想が3つある。


設計思想1:固定費を極限まで削る

飲食2店舗で私が学んだ最大の教訓は、固定費の重さが会社を殺すということだった。

月商800万円でも、固定費が900万円なら、毎月100万円ずつ現金が消えていく。売上がゼロになっても、家賃130万円は毎月必ず出ていく。この構造が、16週後の資金ショートを決定づけた。

だから、現在の4社はすべて「固定費ゼロ設計」を徹底している。

オフィスは持たない。 4社ともバーチャルオフィスまたは登記のみ。実務は自宅とリモートで完結する。家賃という固定費がゼロになる。

正社員は最小限。 各社の社長と役員1名のみ。それ以外はすべて外注か業務委託。人件費という最大の固定費を、売上に応じて変動費化する。

設備投資をしない。 ビルメンテナンスも原状回復も、機材は外注先が持っている。自社で購入・リースする必要がない。減価償却も、リース料という固定費も発生しない。

この3つで、売上がゼロになっても会社が存続できる構造が生まれる。

実際、コロナ禍で2社目の貿易事業が売上ゼロに近い月があったとき、私が大手宅配会社に就職して役員報酬をゼロにできたのも、この「固定費が軽い」構造があったからだ。


設計思想2:時間を自由にする

飲食業は時間に縛られる。

開店時間が決まっている。仕込みの時間がある。ピークタイムには現場にいなければならない。この「時間の固定」が、複数事業を並行して回すことを不可能にする。

だから、現在の4社はすべて「時間の自由設計」を前提にしている。

ビルメンテナンス・清掃は4〜10時で完結する。 早朝の清掃需要に特化することで、作業が午前中に終わる。午後は別の事業に集中できる。

原状回復・ハウスクリーニングは工事を外注する。 営業と管理だけ自社で行い、実作業は協力会社に依頼する。現場に張り付く必要がなくなる。

コンサル・CFO代行はリモートで完結する。 Zoom・Slack・Googleスプレッドシートがあれば、どこでも業務が回る。移動時間がゼロになる。

この設計により、私自身は4社すべてのバックオフィス業務を、1日4〜6時間で回している

「4社も経営して、時間が足りないのでは?」と聞かれることがある。逆だ。固定費がなく、時間が自由だからこそ、4社を並行して回せる。


設計思想3:すべてを外注化する

「外注化」は、単なるコスト削減ではない。

外注化とは、「自社が本当に価値を生む部分」だけに集中する戦略だ。

ビルメンテナンスで価値を生むのは、「顧客との信頼関係」と「品質管理」だ。実際に掃除をする作業そのものは、訓練された外注先に任せた方が品質も安定する。

原状回復で価値を生むのは、「受注のスピード」と「工事の進行管理」だ。工事そのものは、専門技術を持つ協力会社に任せる。

ハウスクリーニングで価値を生むのは、「マーケティングと顧客管理」だ。作業は外注し、自社はリピート率とLTV(顧客生涯価値)を高めることに集中する。

この「価値を生む部分だけ内製化し、それ以外は外注する」という設計が、少人数で複数事業を回すことを可能にする。


ホールディングス構造を選んだ理由

では、なぜ4社を統合せず、ホールディングス構造を選んだのか。

理由は3つある。

理由1:リスク分散

1社に集約すると、その事業がコケたときに全社が傾く。4社に分散していれば、1社が不調でも他の3社で補える。コロナ禍で原状回復の需要が落ちたとき、ビルメンテナンスとコンサルの収益が支えになった。

理由2:専門性の明確化

清掃とコンサルは、まったく別の事業だ。1社にまとめると、社員も顧客も「この会社は何をしている会社か」が見えにくくなる。別法人にすることで、それぞれの専門性が明確になる。

理由3:バックオフィスの統合による効率化

4社目(ホールディングス本体)が、3・5・6社目の経理・財務・人事を一括で担当する。これにより、各子会社は営業と現場管理だけに集中できる。重複するバックオフィス業務が消え、私自身のCFOとしての業務が4社分まとめて処理できる。

ホールディングス構造は、「分散によるリスク管理」と「統合による効率化」を両立させる設計だ。


私自身の役割──4社目の代表+3社のCFO

私自身の役割は、4つの帽子をかぶっている。

4社目(ホールディングス)の代表として 財務コンサル・CFO代行の営業と顧客対応。他社の財務を見ることで、自社の財務設計にもフィードバックが返ってくる。

3社目(ビルメンテナンス)のCFOとして 月次の収支管理、外注先の契約管理、新規受注の採算判断。

5社目(原状回復)のCFOとして 工事ごとの粗利管理、協力会社との支払管理、資金繰りの調整。

6社目(ハウスクリーニング)のCFOとして マーケティング投資のROI管理、顧客別LTVの分析、広告費の最適配分。

この4つの役割を、1日4〜6時間でどう回しているか。

答えは、**「仕組み化」**だ。

13週CFは4社分を1つのスプレッドシートで管理している。月次レビューは各社15分×4社=1時間で回す。KPIダッシュボードは毎朝5分で全社確認できる。

仕組みがあれば、4社でも回る。仕組みがなければ、1社でも回らない。


この4社構造が「2つの原理」の完成形である理由

話1で、私はこの連載を貫く2つの原理を提示した。

原理1:資金を絶やさない設計 原理2:自他同然を制度として埋め込む

現在の4社構造は、この2つの完成形だ。

原理1の実装: 固定費ゼロ設計により、売上がゼロでも会社が続く。時間の自由により、複数事業で収益を分散できる。外注化により、固定費を変動費に転換できる。ホールディングス構造により、リスク分散と効率化を両立できる。

原理2の実装: 各社の月次財務は全社員に公開している。外注先との契約内容も透明化し、支払条件を明文化している。CFOとして4社の数字を見ることで、「どの会社も同じ基準で管理する」公平性が保たれている。

飲食で失敗し、貿易でバイアウトし、ホールディングスを設立してたどり着いたのは、**「資金と時間の自由を設計し、透明性を制度化する」**という経営の型だった。


今日やること(チェックリスト)

□ 自社の現在の固定費を洗い出し、
  「売上ゼロでも毎月出ていく金額」を計算した

□ 自分自身の1日の時間配分を書き出し、
  「固定された時間」と「自由な時間」を色分けした

□ 現在の業務を「内製すべきもの」と
  「外注できるもの」に分類した

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3つ目の分類が、今後の事業設計を変える起点になる。「内製すべきもの」は、本当に自社が価値を生む部分か。「外注できるもの」を抱え込むことで、固定費と時間が奪われていないか。この問いに正直に向き合うことが、次の一手を生む。


次回(第0章・話11)では、この連載全体を支える「チェックリストと次の一手」という仕組みを深掘りする。なぜ各話の章末に必ずチェックリストがあるのか。「次の一手」を明示することで、読者の行動がどう変わるのか。行動格差を生む仕組みの設計思想を解説する。

仕組みがあれば、1人で4社回せる。仕組みがなければ、10人でも1社が回らない。

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