創業期の「朝イチダッシュボード」

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経営者が毎日確認すべき数字は何か

第0章・話26|はじめに


到達目標:毎朝確認すべき5つの数字を理解し、自社の朝イチダッシュボードを作る。 今日やること:朝イチダッシュボードのフォーマットを作り、今日の数字を入力する。 必要ツール:Googleスプレッドシート、銀行口座のログイン情報。


毎朝、仕事を始める前に何を確認するか。

メール、Slack、SNS。これらを確認する経営者は多い。

でも、数字を確認する経営者は少ない。

経営者が毎朝確認すべきは、メールではない。数字だ。

今日の残高はいくらか。今週の売上はいくらか。ランウェイは何ヶ月か。

この5つの数字を、毎朝5分で確認する。この習慣が、資金ショートを防ぐ。

今回は、創業期の経営者が毎朝確認すべき「朝イチダッシュボード」の作り方を解説する。


朝イチダッシュボードの5つの数字

毎朝確認すべき数字は、5つだけでいい。

多すぎると、確認に時間がかかる。5つなら、5分で終わる。

数字1:今日の銀行残高

何を見るか: 銀行口座の残高(今日時点)

なぜ必要か: 残高がわからなければ、資金繰りの判断ができない。

どう確認するか:

  • ネットバンクにログインする
  • 口座残高を確認する
  • ダッシュボードに記入する

目安:

  • 残高が固定費1ヶ月分を下回ったら、警戒
  • 残高が固定費2週間分を下回ったら、緊急

例:

  • 固定費月次合計:80万円
  • 今日の残高:120万円
  • 判断:警戒レベル(1.5ヶ月分)

数字2:今週の売上

何を見るか: 今週(月曜日〜今日まで)の売上合計

なぜ必要か: 週次で売上を追うことで、月次目標に対する進捗が見える。

どう確認するか:

  • 受注管理シートを開く
  • 今週成約した案件の金額を合計する
  • ダッシュボードに記入する

目安:

  • 月次目標を4週で割った金額が、週次目標
  • 週次目標に対する達成率を確認する

例:

  • 月次目標:400万円
  • 週次目標:100万円
  • 今週の売上:70万円
  • 達成率:70%

数字3:今週の入金予定

何を見るか: 今週(月曜日〜日曜日)に入金される予定の金額

なぜ必要か: 入金予定がわかれば、週末の残高が予測できる。

どう確認するか:

  • 13週CFを開く
  • 「今週」の列の「入金合計」を確認する
  • ダッシュボードに記入する

目安:

  • 入金予定がゼロの週は、残高が減る
  • 入金予定が出金予定を下回る週も、残高が減る

例:

  • 今週の入金予定:50万円
  • 今週の出金予定:80万円
  • 週末残高の変化:-30万円

数字4:ランウェイ

何を見るか: 現預金 ÷ 月次ネットバーン = 残り何ヶ月

なぜ必要か: ランウェイがわかれば、「いつまでに何をすべきか」の期限が見える。

どう確認するか:

  • 今日の残高を確認する(数字1)
  • 月次ネットバーン(月次出金 – 月次入金)を確認する
  • ランウェイを計算する
  • ダッシュボードに記入する

目安:

  • ランウェイ6ヶ月以上:安全
  • ランウェイ3〜6ヶ月:注意
  • ランウェイ3ヶ月未満:危険

例:

  • 今日の残高:120万円
  • 月次ネットバーン:40万円
  • ランウェイ:120万円 ÷ 40万円 = 3ヶ月

数字5:今月の進捗率

何を見るか: 今月の経過日数 ÷ 今月の総日数 = 進捗率

なぜ必要か: 進捗率と売上達成率を比較することで、月末の着地が予測できる。

どう確認するか:

  • 今日の日付を確認する
  • 今月の総日数で割る
  • ダッシュボードに記入する

目安:

  • 進捗率50%のとき、売上達成率も50%が理想
  • 進捗率50%で売上達成率30%なら、月末は60%着地の予測

例:

  • 今日:3月15日
  • 今月の総日数:31日
  • 進捗率:15日 ÷ 31日 = 48%
  • 今月の売上:120万円
  • 月次目標:400万円
  • 売上達成率:30%
  • 判断:このままでは月末60%着地。残り15日で180万円必要

朝イチダッシュボードのフォーマット

5つの数字を、1枚のシートにまとめる。

Googleスプレッドシートで、次のフォーマットを作る。

【朝イチダッシュボード】

更新日:2025年3月15日(金)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. 今日の銀行残高
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
120万円

前日比:-5万円
固定費対比:1.5ヶ月分

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2. 今週の売上
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
70万円

週次目標:100万円
達成率:70%

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3. 今週の入金予定
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
50万円

今週の出金予定:80万円
週末残高予測:90万円

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
4. ランウェイ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3.0ヶ月

月次ネットバーン:40万円
ステータス:【注意】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
5. 今月の進捗率
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
進捗率:48%
売上達成率:30%

月末着地予測:60%(240万円)
目標との差:-160万円

このフォーマットを、毎朝開く。5つの数字を更新する。5分で終わる。


朝イチダッシュボードを習慣にする3つのコツ

コツ1:開くハードルを下げる

ダッシュボードを、ブラウザのホーム画面に設定する。

PCを開いた瞬間、ダッシュボードが表示される。これだけで、確認率が上がる。

コツ2:更新時間を固定する

毎朝9時、コーヒーを飲みながらダッシュボードを更新する。

時間を固定することで、習慣になる。「9時になったらダッシュボード」という自動的な行動が生まれる。

コツ3:更新したらSlackに投稿する

ダッシュボードを更新したら、要点をSlackに投稿する。

「今日の残高:120万円、ランウェイ3ヶ月、今週の売上70万円」

チームに共有することで、透明性が高まる。そして自分自身へのコミットメントにもなる。


私が4社を経営できている理由も、この習慣にある

話10で書いたが、私は現在4社を経営している。

毎朝、4社分のダッシュボードを確認している。

4社分でも、確認時間は15分だ。1社あたり3〜4分。

この習慣があるから、4社のどれかで資金が厳しくなる兆候を、即座に察知できる。

例:

  • 3社目の残高が先週比で20万円減っている
  • 5社目のランウェイが4ヶ月を切った
  • 6社目の今月売上達成率が、進捗率を20%下回っている

この兆候を朝イチで察知すれば、その日のうちに対処できる。

3社目の広告費を一時停止する。5社目のJFC申請準備を始める。6社目の営業活動を強化する。

朝イチで数字を見る習慣が、問題を小さいうちに摘み取る。


朝イチダッシュボードで「動く経営者」になる

話19で書いた「次の一手を常に持つ経営者」と「固まる経営者」の違いを覚えているだろうか。

朝イチダッシュボードは、「動く経営者」になるための道具だ。

ダッシュボードを見れば、今日動くべきことが見える。

  • ランウェイが3ヶ月を切っている → 今日JFCに相談予約する
  • 今週の売上が目標の70% → 今日追加で2社に営業する
  • 週末残高が90万円に減る予測 → 今日入金の前倒し交渉をする

数字が見えれば、行動が決まる。行動が決まれば、動ける。

逆に、数字を見ていなければ、何をすべきかがわからない。「なんとなく忙しい」「なんとなく不安」という感覚だけが残る。

数字を見る習慣が、感覚を判断に変える。


今日やること(チェックリスト)

□ Googleスプレッドシートに「朝イチダッシュボード」という
  ファイルを作成した

□ 上記のフォーマットをコピーして貼り付けた

□ 5つの数字のうち、今日わかるものを入力した
  (わからないものは空欄でOK)

□ ダッシュボードのURLをブラウザのブックマークバーに
  追加した

□ 明日朝9時に「ダッシュボード更新」のリマインダーを
  カレンダーに設定した

5つ目のリマインダー設定が、明日から習慣を始める第一歩になる。


次回(第0章・話27)では、「資金繰りと事業計画は別物か同じものか」を解説する。この2つの関係を正確に理解することで、計画の精度が上がる。

毎朝5分、5つの数字を見る。この習慣が、資金ショートを防ぐ最強の武器だ。

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