仲間・メンター・コミュニティの作り方
第0章・話29|はじめに
到達目標:創業期の孤独を理解し、仲間・メンター・コミュニティを作る具体的な方法を知る。 今日やること:仲間・メンター・コミュニティのうち、最も必要な1つを特定し、作る第一歩を踏む。 必要ツール:紙とペン、SNSアカウント。
創業から3ヶ月。
誰にも相談できない悩みが、増えていく。
資金繰りが厳しい。でも社員には言えない。共同創業者と意見が合わない。でも誰にも相談できない。売上が立たない。でも弱音を吐けない。
創業者の孤独は、想像以上に深い。
この孤独が、判断を狂わせる。視野を狭くする。最悪の場合、メンタルを壊す。
今回は、創業者が陥る孤独の罠と、その対処法を解説する。
仲間・メンター・コミュニティ。この3つを作ることが、孤独から抜け出す方法だ。
創業者の孤独が生まれる3つの理由
なぜ創業者は孤独になるのか。3つの構造的な理由がある。
理由1:相談相手が減る
会社員時代は、上司・同僚・先輩に相談できた。
でも創業すると、相談相手がいなくなる。
社員には相談できない(不安を与えたくない)。家族には相談できない(心配をかけたくない)。友人には相談できない(理解してもらえない)。
気づけば、誰にも相談していない。
理由2:判断の重さが増す
会社員時代は、判断の責任を上司と分散できた。
でも創業者は、すべての判断を自分で下す。
採用するか。調達するか。撤退するか。どの判断も、会社の命運を左右する。
この重さを、一人で抱える。
理由3:弱みを見せられない
創業者は、「強くあるべき」というプレッシャーを感じる。
社員の前では、自信を見せなければならない。投資家の前では、成長を語らなければならない。顧客の前では、安定を示さなければならない。
弱音を吐く場所がない。
孤独が経営判断を狂わせる3つのパターン
孤独は、判断を狂わせる。
パターン1:視野が狭くなる
一人で考え続けると、同じ選択肢しか見えなくなる。
「広告費を削るしかない」「採用を止めるしかない」「価格を下げるしかない」。
でも、他の選択肢があるかもしれない。誰かに相談すれば、別の視点が得られる。それが孤独だと、視野が狭くなる。
パターン2:判断が遅れる
一人で悩み続けると、判断が遅れる。
「もう少し考えよう」「もう少しデータを集めよう」と先延ばしにする。
その間に、状況は悪化する。誰かに相談すれば、背中を押してもらえる。それが孤独だと、判断が止まる。
パターン3:メンタルが壊れる
一人で抱え続けると、メンタルが壊れる。
不安、焦り、自責。これらが積み重なり、ある日突然、起き上がれなくなる。
誰かに話すだけで、負荷が分散される。それが孤独だと、一人で抱えきれなくなる。
孤独から抜け出す3つの関係
孤独から抜け出すには、3つの関係を作る。
仲間・メンター・コミュニティ。
この3つは、それぞれ異なる役割を持つ。
関係1:仲間(同じ立場の創業者)
仲間とは何か
仲間とは、同じ立場で同じ悩みを抱えている創業者だ。
創業1〜3年目、社員5〜10人、年商1,000万〜5,000万円。このレンジが近い創業者。
なぜ仲間が必要か
仲間は、「わかる」と言ってくれる唯一の存在だ。
「資金繰りが厳しくて」と言ったとき、会社員の友人は「そうなんだ」と言う。でも創業者の仲間は「わかる、うちも先月ランウェイ3ヶ月切った」と言う。
この「わかる」が、孤独を和らげる。
仲間をどう作るか
方法1:創業者向けイベントに参加する
スタートアップのピッチイベント、勉強会、交流会。これらに参加する。
参加したら、同じくらいのフェーズの創業者に声をかける。「何をされてるんですか?」と聞く。
3人に声をかければ、1人は連絡先を交換できる。
方法2:SNSで発信する
Twitterやnoteで、創業者としての日常を発信する。
「今日13週CF更新した」「ランウェイ4ヶ月になった」「月次レビュー3ヶ月続いた」。
発信を続けると、同じフェーズの創業者がフォローしてくれる。DMで「うちも同じ状況です」と連絡が来る。
方法3:創業者コミュニティに入る
オンラインサロン、Slackコミュニティ、創業者向けプログラム。これらに参加する。
月額数千円で、数十人〜数百人の創業者とつながれる。
仲間との関係の使い方
仲間とは、月1回、30分のZoom雑談をする。
議題は決めない。「最近どう?」から始める。お互いの近況を話す。
この雑談が、孤独を防ぐ。
関係2:メンター(先を行く経営者)
メンターとは何か
メンターとは、自分より3〜5年先を行く経営者だ。
自分が創業1年目なら、創業4〜6年目の経営者。自分が年商3,000万円なら、年商1億円の経営者。
なぜメンターが必要か
メンターは、「これから起きること」を教えてくれる。
「創業2年目には、こういう問題が起きるよ」「年商5,000万円を超えると、こういう壁がある」。
この予測が、準備を可能にする。
メンターをどう作るか
方法1:既存の関係から探す
元上司、大学の先輩、取引先の経営者。既存の関係の中に、メンター候補がいないか探す。
「相談に乗ってもらえませんか?月1回、30分だけ」とお願いする。
断られても気にしない。10人に聞いて、1人が引き受けてくれればいい。
方法2:イベントで会って直接お願いする
創業者向けイベントで、登壇している経営者に声をかける。
「今日の話、すごく勉強になりました。もしよければ、月1回相談に乗っていただけませんか?」
対面で会って直接お願いすると、OKしてもらえる確率が上がる。
方法3:価値提供をセットにする
「相談に乗ってください」だけでなく、「私は○○ができるので、お役に立てるかもしれません」と伝える。
例:「私はSNS運用が得意なので、御社のTwitter運用のお手伝いができます」
ギブアンドテイクの関係を作る。
メンターとの関係の使い方
メンターとは、月1回、30分のZoomで相談する。
事前に「今月相談したいこと3つ」をメールで送る。メンターが準備できるようにする。
Zoomでは、3つの相談を順番に話す。メンターのアドバイスをメモする。
相談後、24時間以内にお礼のメールを送る。
関係3:コミュニティ(情報と励ましの場)
コミュニティとは何か
コミュニティとは、複数の創業者が集まる場だ。
オンラインサロン、Slackグループ、Discordサーバー、定期的なオフ会。
なぜコミュニティが必要か
コミュニティは、「一人じゃない」という感覚を与えてくれる。
深夜に資金繰りで悩んでいるとき、Slackを開くと、他の創業者が同じように悩んでいる。
この「一人じゃない」感覚が、孤独を和らげる。
コミュニティをどう作るか・入るか
方法1:既存のコミュニティに入る
創業者向けのオンラインコミュニティを探す。
「創業者 コミュニティ」「スタートアップ Slack」で検索すると、いくつか見つかる。
月額3,000〜10,000円程度。試しに1ヶ月入ってみる。
方法2:自分でコミュニティを作る
仲間3〜5人で、Slackグループを作る。
「創業者の雑談部屋」「資金繰り相談室」など、テーマを決める。
最初は3人でもいい。徐々に増やしていく。
コミュニティの使い方
コミュニティには、週1回は顔を出す。
「今週の振り返り」を投稿する。「今週の悩み」を相談する。他の人の投稿にコメントする。
受け取るだけでなく、与えることも意識する。
私が孤独を乗り越えた方法
私も、創業初期は孤独だった。
飲食2店舗を経営していたとき、誰にも相談できなかった。資金繰りが厳しくても、スタッフには言えなかった。撤退を決めるまで、一人で悩んでいた。
貿易事業を始めてからは、意識的に仲間・メンター・コミュニティを作った。
仲間:創業者3人とのZoom雑談
同じフェーズの創業者3人と、月1回Zoomで雑談する関係を作った。
議題なし、30分、ただの雑談。この雑談が、孤独を防いだ。
メンター:年商5億円の経営者
創業5年、年商5億円の経営者に、メンターになってもらった。
月1回30分、Zoomで相談する。コロナ禍のとき、「こういう選択肢もあるよ」と教えてもらった。
コミュニティ:創業者向けSlackグループ
創業者20人くらいのSlackグループに入った。
深夜に資金繰りで悩んでいるとき、Slackを開くと、他の創業者も同じように悩んでいた。
この「一人じゃない」感覚が、救いになった。
今日やること(チェックリスト)
□ 仲間・メンター・コミュニティのうち、
自分に最も必要なものを1つ選んだ
□ その関係を作るために、今週できることを1つ決めた
(例:創業者イベントを1つ検索する、
メンター候補にメールを1通送る、
オンラインコミュニティを1つ調べる)
□ それを実行する時間を、カレンダーにブロックした
3つ目のカレンダー設定が、孤独対策を確実にする。
次回(第0章・話30)は、第0章の最終話です。「本書を最大限に活かす読者になるための『問いかけ習慣』とは」を解説します。連載の活用を深める読み方の工夫を届けます。
孤独は、創業者を壊す。仲間・メンター・コミュニティが、孤独から救い出す。今週、1つ作る。


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